腹膜透析患者の観察項目とは。訪問看護を行う際のポイント
腹膜透析を新たに導入する患者には、看護計画を立てて必要なサポートやケアを行うことが必要です。看護計画で定めておく内容の一つに、患者の“観察項目”が挙げられます。
腹膜透析患者の看護において「自宅での腹膜透析を安全に継続できる生活環境か」「患者に合った腹膜透析やケアを行えているか」などを判断する重要な項目となるため、導入前に定めておくことが重要です。
この記事では、病院・訪問看護ステーションが策定する看護計画の観察項目と訪問看護を行う際のポイントについて解説します。
▼訪問看護による腹膜透析患者のケアについては、こちらの記事をご確認ください。
目次[非表示]
- 1.腹膜透析患者の看護における観察項目
- 1.1.➀腹膜透析の管理体制
- 1.2.②感染症の可能性
- 1.3.③透析量・除水不足の状況
- 2.腹膜透析患者への訪問看護を行う際のポイント
- 3.まとめ
腹膜透析患者の看護における観察項目
腹膜透析患者によって看護計画で定める観察項目は異なりますが、共通する基本的な内容として以下の3つが挙げられます。
➀腹膜透析の管理体制
腹膜透析の管理を自宅で適切に行える状況か否かを確認します。
腹膜透析では、患者自身や家族が自宅で透析液の交換を行います。主治医が定めた時間・回数を守りながら正しい手法で透析液を交換する必要があるため、自己管理の能力や家族のサポート環境などを把握しておくことが欠かせません。
▼主な観察項目
- 患者のライフスタイル(職業・学業・休日の過ごし方など)
- 性格
- 生活環境
- 慢性腎不全や腹膜透析に関する知識
- 既往歴、治療中の疾病
- 患者自身で透析管理を行うための身体・認知機能
- 家族によるサポートの可否・範囲 など
出典:厚生労働省『個別事項(その7)』
②感染症の可能性
腹膜透析によって感染症を引き起こしていないか、感染症を予防するための正しいケアを行えているかを観察します。
腹膜透析では、カテーテルを腹腔内に挿入して透析液の交換を行います。その際にカテーテル出口部から細菌が入り込むと、赤み・腫れ・膿などの炎症が起きたり、腹膜炎につながったりする可能性があります。
また、腹膜炎を繰り返すと、“被嚢性腹膜硬化症(EPS)”という合併症を引き起こすことがあるため、感染症の早期発見と対処が重要です。
▼主な観察項目
- 排液の性状(混濁やフィブリンがないか)
- 発熱や腹痛、吐き気などの体調不良
- 出口部・皮下トンネル・カフ部の状態
- 体温
- 血圧
- 透析液の交換操作
- 部屋の環境 など
▼カテーテル出口部のケアや排液については、こちらの記事で詳しく解説しています。
③透析量・除水不足の状況
必要な透析量を確保できているか、除水不足になっていないかを観察します。
腹膜透析では、患者の腹膜機能や体重の変化に応じて必要な透析量・交換回数・貯留時間などを調整する必要があります。
水分・塩分の摂りすぎは、腹膜透析による除水不足によって体液過剰が起こり、高血圧や心血管系の合併症につながる原因となります。体重や血圧が上昇している場合には、除水が不十分または水分・塩分を摂りすぎている可能性があります。
また、カテーテルの位置や接続部に異常がある場合には、透析液の注排出がうまく行えず必要な透析量を確保できていない可能性があるため、注意が必要です。
▼主な観察項目
- 透析液の貯留時間
- 透析液の注液量・排液量
- 尿量
- 体重
- 血圧
- 食事・水分摂取量
- エネルギーの摂取量
- たんぱく質やリンの摂取量
- 服薬の状況
- カテーテルの位置不良 など
▼腹膜透析の食事療法についてはこちらの記事で解説しています。
腹膜透析患者への訪問看護を行う際のポイント
病院・訪問看護ステーションで腹膜透析患者への訪問看護を行う際には、観察項目の記録を行い、主治医と円滑に連携できる体制を整えることがポイントです。
訪問看護師が観察した内容を紙の記録ノートで管理する場合には、報告書の作成やFAXによる送信などに時間・労力がかかります。
標準化されたテンプレートでリアルタイムな情報共有を行えるアプリケーションを活用することで、訪問看護師と主治医のやり取りが円滑になり業務の効率化につながります。
また、チャット機能やビデオ通話機能が備わったアプリケーションを利用すると、体重・血圧の変化、感染症が疑われる症状などが見られた際に、速やかに主治医への報告と判断を仰ぐことが可能です。
まとめ
この記事では、腹膜透析の観察項目について以下の内容を解説しました。
- 腹膜透析患者の看護における観察項目
- 訪問看護を行う際のポイント
腹膜透析を導入する際には、看護計画で観察項目を定めます。患者自身や家族による管理体制や感染症の可能性、透析量・除水不足の状況などを観察することにより、安定した腹膜透析の継続につながります。
また、訪問看護によって患者のサポートを行う際には、観察項目を記録して主治医と共有できるアプリケーションを活用することも有効です。
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