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腹膜透析の在宅医療において準備が必要なものとは

腹膜透析は、体の腹膜を利用して余分な水分や老廃物を除去する人工透析療法の一種です。自宅や職場などで透析液の交換を行えることから、血液透析と比べて生活上の制約が少なく、生活スタイルを維持しやすい在宅医療として普及しています。

腹膜透析を始める際には、必要な器材・物品を用意して、主治医の指示に沿って安全に在宅医療が行えるように環境を整える必要があります。

病院・訪問看護ステーションの担当者は、腹膜透析に必要な準備を確認して、患者がスムーズに在宅医療を進められるようにサポートすることが大切です。

この記事では、腹膜透析の在宅医療に必要なものや、患者が安心して腹膜透析を行えるようにするためのポイントについて解説します。

出典:厚生労働省『中央社会保険医療協議会 総会(第502回)議事次第』『個別事項(その7:その他の論点)


目次[非表示]

  1. 1.腹膜透析の在宅医療に準備が必要なもの
    1. 1.1.➀透析液
    2. 1.2.②透析液を交換するための機器・装置
    3. 1.3.③スタンド
    4. 1.4.④加温器・保温カバー
    5. 1.5.⑤測定用の器具・物品
    6. 1.6.⑥カテーテルケア用品
  2. 2.腹膜透析患者の在宅医療をサポートするポイント
  3. 3.まとめ


腹膜透析の在宅医療に準備が必要なもの

腹膜透析に必要な器材・物品は、患者自身で病院から持ち帰る場合のほか、患者の自宅へ配送されることが一般的です。在宅でのセルフケアに必要な物品については、患者自身で用意が必要になるものもあります。


➀透析液

透析液は、腹腔内に入れて血液の浄化を行うためのものです。

腹膜透析では、カテーテルから腹腔内へ透析液を注入して一定時間貯留させたあと、体外へ取り出すことによって血液の浄化を行います。


▼腹膜透析のイメージ

腹膜透析のイメージ

画像引用元:厚生労働省『個別事項(その7:その他の論点)


腹膜透析の方式によって透析液を交換する方法や頻度が異なるため、主治医の指示に応じて必要な透析液を準備する必要があります。透析液が入ったバックについては、基本的に月に1回ほどの頻度で自宅に配送されます。


▼腹膜透析の代表的な方式

透析方式
概要
一般的な交換頻度
CAPD
1日を通して手動による透析液の交換を連続的に行う
1日4~5回ほど
APD
就寝時の時間を活用して、機械を用いて自動で透析液の交換を行う
1日1回(主に夜間)
CCPD
CAPDとAPDを組み合わせて日中・夜間で透析液の交換を行う
1日1~2回ほど


また、透析液が入ったバックは、直射日光が当たらず湿気やほこりが少ない室内に保管するとともに、宅配時には数量・使用期限を確認しておくことが重要です。


▼腹膜透析の種類についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

  腹膜透析の種類とは。患者に合った方法を選択するポイント 腹膜透析とは、腎機能の働きが低下した際、人工的に機能を補う透析治療の一つです。病院や訪問看護ステーションの担当者のなかには「腹膜透析の種類や特徴を改めて確認したい」と考える方もいるのでは?今回は、腹膜透析の種類と患者に合った治療法を選択するポイントについて解説します。 「カレイドタッチ」ブランドサイト


出典:厚生労働省『個別事項(その7:その他の論点)


②透析液を交換するための機器・装置

透析液を腹膜を通して出し入れするための機器・装置が必要です。腹膜透析の方式によって必要な機器・装置が異なります。


▼腹膜透析を行うための主な機器・装置

透析方式
必要な機器・装置
CAPD
  • 排液バッグ(透析液バッグと一体型のタイプが主流)
  • 接続に必要な関連器具(チューブ、カテーテルなど)
APD
  • 自動腹膜灌流装置(サイクラー)
  • 排液タンク
  • 接続に必要な関連器具(チューブ、カテーテルなど)


なお、透析機器のメーカーによっては、透析液バックから腹腔内まで安全かつ清潔に接続できるように腹膜透析接続装置の利用を推奨しているケースがあります。


③スタンド

透析液バックを安定して固定するためにスタンドを使用します。

CAPDの方式では、腹腔内に透析液を注入・排液するために、腹部よりも高い位置に透析液バックを設置する必要があります。高低差をつける際には、点滴用のスタンドを用いる場合のほか、壁掛けやカーテンレールなどにS字フックをつけて代用することも可能です。

APDの場合には、自動腹膜灌流装置によっては補助用のスタンドが必要になる場合があります。


④加温器・保温カバー

透析液を保管する加温器や保温カバーを用意します。

腹腔内に透析液を注入する前に、加温器に透析液バックを入れて患者の体温に近い温度まで温めておくことが必要です。また、透析中においては透析液が冷えないように、保温カバーを使用するケースもあります。


⑤測定用の器具・物品

腹膜透析では、患者の体重や血圧、排液の状態などを日常的に測定・記録して、定期的に主治医による経過観察を行います。


▼在宅医療で必要になる測定用の器具・物品

器具
用途
はかり
透析液の注入量・排液量を測定する
時計
透析液の貯留時間や排液時間を測定する
体重計
透析前後で体重を測定して、体内水分量の変化を確認する
血圧計
毎日一定の時間に血圧を測定して、体内水分量や塩分量などを確認する
体温計
体調の変化や感染症の有無などを確認する
排液確認用下敷き
排液の色やにごりの有無などを確認する
記録ノート
透析液の注入量・排液量や体重・血圧の変化、飲水量などを記録する


また、主治医や訪問看護師が腹膜透析の実施状況、患者の健康状態を把握するために、患者自身で測定結果を記録ノートにまとめておく必要があります。


⑥カテーテルケア用品

患者自身または訪問看護師がカテーテルケアを行うための物品を用意します。

腹膜透析では、透析液の交換時にカテーテルから細菌が侵入して、感染症が発生するおそれがあります。清潔な状態で透析液の交換を行うために、カテーテル出口部分の消毒やケアを行うことが重要です。


▼カテーテルケアに必要な物品

  • 消毒液
  • 滅菌綿棒
  • 紙テープ・布テープ
  • ガーゼ など


なお、必要な物品はカテーテルケアの方法によって異なる場合があるため、主治医の指示に沿って準備する必要があります。



腹膜透析患者の在宅医療をサポートするポイント

病院・訪問看護ステーションの担当者は、患者が安心して腹膜透析を受けられるように、必要に応じて器材・物品の管理や治療のサポートを行うことが大切です。

患者のなかには、高齢や疾患によって自身で腹膜透析の管理を行うことが難しい人もいます。これまで家族が介助者となってサポートを行うことが一般的でしたが、地域の医療・介護施設が連携して訪問看護師が支援する方法が推進されています。


▼訪問看護師によるサポートの例

  • 腹膜透析に必要な器材・物品の準備
  • 部屋や器材・物品の衛生管理
  • 患者または家族に対する生活習慣やセルフケアの指導
  • カテーテルケア、入浴介助
  • 腹膜透析のスケジュール管理や体重・血圧などの記録
  • 透析液や各種物品の在庫管理 など


訪問看護師は、腹膜透析患者に対する治療面のサポートだけでなく、患者の家族への指導やメンタルケアなどを行う役割を担います。

また、質の高い在宅医療を実現するには、主治医・病院看護師・訪問看護師が連携して、患者の状態をリアルタイムに共有できる体制づくりも求められます。



▼腹膜透析患者の訪問看護で行うことやケアの方法については、こちらの記事で解説しています

  腹膜透析患者の訪問看護で行うこと。患者に寄り添ったケアを実現するには 腹膜透析は、血液透析とは異なり、患者の自宅や勤務先などで行えるため、日常生活の制約が少ない利点があります。しかし、腹膜透析の管理が難しいケースがあります。今回は、腹膜透析患者に対して訪問看護師が行うことや、ケアのポイントについて解説します。 「カレイドタッチ」WEBサイト


まとめ

この記事では、腹膜透析の在宅医療について以下の内容を解説しました。


  • 腹膜透析の在宅医療に準備が必要なもの
  • 腹膜透析患者の在宅医療をサポートするポイント


腹膜透析に必要な器材・物品は、透析方式やケアの方法によって異なります。病院・訪問看護ステーションの担当者は、スムーズに在宅医療を導入できるように必要な器材・物品や準備方法について、患者と家族に伝えておくことが大切です。

また、患者自身での透析管理が難しい場合には、訪問看護師によるサポートを行います。主治医や病院看護師と訪問看護師の間で円滑に情報共有ができる仕組みを整えることで、患者に寄り添ったきめ細かなフォローが行えます。

病院と訪問看護ステーションでの情報共有を円滑化するには、アプリケーションを活用することが有効です。

kaleido TOUCH(カレイドタッチ)』は、病院と訪問看護ステーションにおける情報共有を支援するアプリケーションです。訪問看護師が確認した患者の情報を主治医へタイムリーに共有して必要なケアを行えるため、質の高い在宅医療の実現につながります。


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