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腹膜透析の種類とは。患者に合った方法を選択するポイント

腹膜透析とは、腎機能の働きが低下した際に、人工的に機能を補う透析治療の一つです。

カテーテルによって腹腔内に透析液を入れることで、血液中の老廃物や余分な塩分・水分が腹膜をとおして透析液に移動します。そのあと透析液を体外に取り出して交換することで血液の浄化を行います。腹膜透析は、透析液の交換方法や頻度によっていくつかの種類に分けられます。

病院や訪問看護ステーションの担当者のなかには「腹膜透析の種類や特徴を改めて確認したい」「患者に合った腹膜透析を行うポイントを知りたい」と気になる方もいるのではないでしょうか。

この記事では、腹膜透析の種類と患者に合った治療法を選択するポイントについて解説します。

出典:厚生労働省『個別事項(その7:その他の論点)

目次[非表示]

  1. 1.腹膜透析の種類
    1. 1.1.CAPD
    2. 1.2.APD
    3. 1.3.CCPD
  2. 2.腹膜透析の方法を選択する際のポイント
    1. 2.1.①患者の生活スタイルに合わせる
    2. 2.2.②健康状態を考慮する
    3. 2.3.③治療導入後の状態に応じて変更する
  3. 3.まとめ

腹膜透析の種類

腹膜透析には、CAPD・APD・CCPDの3種類があります。それぞれ透析液を交換する方法や頻度が異なります。

CAPD

CAPDとは、透析液のバッグ交換を1日に数回、手動で行う腹膜透析の方式です。24時間を通して連続的に透析を行うため、連続携行式腹膜透析とも呼ばれます。

バッグ交換にかかる時間は、通常の場合1回で30分程度とされています。交換を行う頻度については使用する透析液の容量によって異なりますが、1日1~4回程度となります。

▼CAPDのメリット・デメリット

メリット
  • 大掛かりな装置を必要としない
  • 停電時にも行えるため、災害時にも対応できる
デメリット
  • 手動でバッグ交換を行う必要がある
  • バッグ交換を行う時間を日中に数回確保する必要がある

出典:厚生労働省『個別事項(その7:その他の論点)

APD

APDとは、サイクラーと呼ばれる自動腹膜透析装置を用いて、夜間に自動で透析液の交換を行う腹膜透析の方式です。自動腹膜透析とも呼ばれます。

主に就寝時の時間帯を利用して専用装置による透析液の出し入れを行うことから、日中に数回のバッグ交換を行う必要がありません。

▼APDのメリット・デメリット

メリット
  • 透析液のバッグ交換を手動で行う必要がない
  • 日中は自由に過ごせる
デメリット
  • 透析液交換のために、夜間にまとまった時間を確保する必要がある
  • 自動腹膜透析装置を動かすための電源が必要

CCPD

CCPDは、APDによる夜間での自動腹膜透析を行ったうえで、日中に透析液を腹腔内に貯留させる方式です。残腎機能を保持することが難しい患者に対して十分な透析量を確保するために行われます。

▼CCPDのメリット・デメリット

メリット
  • ほかの腹膜透析で対応できない患者にも実施できる場合がある
  • 日中に透析液のバッグ交換を手動で行う必要がない
デメリット
  • 透析液交換のために、夜間にまとまった時間を確保する必要がある
  • 日中は透析液を腹腔内に貯留させる必要がある
  • 自動腹膜透析装置を動かすための電源が必要

なお、腹膜透析の注意点についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

※尿によって身体の塩分・水分を調整して、腎臓によって老廃物を排出する働きのこと。

腹膜透析の方法を選択する際のポイント

腹膜透析の方法は、腎機能の状態に加えて、患者の生活スタイルや体調、治療の経過を踏まえて柔軟に選択することが求められます。

また、腹膜透析は訪問看護でサポートを行うこともあるため、スムーズな処置を行うために医師や看護師の連携も重要です。

①患者の生活スタイルに合わせる

腹膜透析を行う際は、患者の生活スタイルを考慮する必要があります。

仕事や学業などで日中の活動が活発な患者の場合、CAPDによる手動のバッグ交換が難しい場合が考えられます。また、APDは夜間に時間をかけて透析液の交換を行うため、まとまった時間を確保できない場合には適しません。

▼生活スタイルを考慮した腹膜透析の実施例

生活スタイル
腹膜透析の実施例
毎日の通勤・通学で日中は忙しい人
APDまたはCCPD
夜間にまとまった睡眠時間を確保できる人
APDまたはCCPD
外出前・お昼休み・帰宅後など数回に分けて時間を確保できる人
CAPD

②健康状態を考慮する

患者の健康状態によって腹膜透析の方式を使い分けることが重要です。

▼患者の健康状態を踏まえた腹膜透析の方式

腹膜透析の方式
患者の健康状態
CAPD
  • 手動で透析液のバッグ交換を行える患者
  • 残腎機能が保持されている患者 など
APD
  • 手動で透析液のバッグ交換が難しい患者
  • 腰痛やヘルニアを持つ患者 など
CCPD
  • 残腎機能が低下している患者
  • 手動で透析液のバッグ交換が難しい患者 など

CAPDの場合、手動で透析液のバッグ交換を行う必要があるため、目・手先が不自由な患者や高齢者、小児の場合には自動で腹膜透析を行えるAPDまたはCCPDが適していると考えられます。

また、APDは上を向いて寝る姿勢で透析液の交換が行われることから、腰痛やヘルニアなどを持つ患者にも治療を行いやすくなります。

③治療導入後の状態に応じて変更する

腹膜透析の治療を導入したあとの経過や健康体調に合わせて、腹膜透析の方式を変更することも検討が必要です。

▼腹膜透析の方式を変更する例

  • 自宅でのAPDを行っていたが、数日間の旅行のためにCAPDに切り替える
  • 仕事の都合でCAPDを行っていたが、退職したためAPDに切り替える
  • 患者自身でAPDを行っていたが、介護が必要になったことでCAPDに切り替えて介護スタッフによるバッグ交換を行う など

患者の生活スタイルや健康状態の変化に合わせて柔軟に治療方法を選択することで、生活の質を維持することにつながります。

まとめ

この記事では、腹膜透析の種類について以下の内容を解説しました。

  • 腹膜透析の種類
  • 腹膜透析の種類を選択する際のポイント

腹膜透析の種類によって透析液を交換する方法や頻度が異なります。仕事や学業、旅行などの時間的・場所的な制約にも影響するため、患者の生活スタイルと健康状態に合わせて腹膜透析の方式を選択することが重要です。

腹膜透析の治療を開始したあとは、患者を取り巻く環境や体調の変化などに合わせて、柔軟に治療方法を切り替えることも大切といえます。

また、腹膜透析は患者自身で行う場合のほか、訪問看護によってサポートを実施するケースもあります。患者に寄り添ったケアを行うためには、病院の医師・看護師と訪問看護師で円滑な連携をとることも欠かせません。