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医療のICT化とは。ICT活用のために参考にしたい事例を紹介

超高齢化社会を迎えるいま、医療・介護サービスを必要とする高齢者が増加しており、今後もニーズが一層高まると見込まれています。

一方で、医療資源の偏在や医療従事者の長時間労働など、医療現場はさまざまな課題に直面しています。どの地域でも安心して生活を送れる医療の提供や現場の労働環境改善につなげるには、ICTの活用がカギとなります。

この記事では、病院・訪問看護ステーションの管理者に向けて、医療現場におけるICT化の現状やメリット・デメリット、参考にしたい事例について解説します。

医療現場におけるICT活用の懸念点については、こちら↓の記事で解説しています。

  医療分野でICTを活用して遠隔医療や業務効率化を目指すには 近年、医療分野においてICTの活用が推進されています。一方、ICTの導入に際して懸念点があることを理由に、医療現場での十分な利活用を進められていないケースも見られています。今回は、医療分野におけるICTの活用例や懸念点、ICTの利活用を推進するための対策について解説します。 「カレイドタッチ」ブランドサイト


目次[非表示]

  1. 1.医療のICT化とは
  2. 2.医療現場におけるICT化の現状
  3. 3.医療現場にICTを取り入れるメリット
  4. 4.医療現場にICTを取り入れるデメリット
  5. 5.医療現場のICT活用事例
    1. 5.1.腹膜透析患者の早期異常発見につなげた事例
    2. 5.2.救急対応において専門医による相談体制を構築した事例
  6. 6.まとめ


医療のICT化とは

医療のICT化とは、ICTを導入して医療・介護・健康データの利活用や遠隔医療を行える基盤を構築・運用することを指します。


▼医療現場におけるICT化の例

  • 遠隔による病理診断
  • 画像・動画を利用した専門医の診断または助言
  • 電子カルテシステムによる診療情報の電子化
  • 在宅患者に対するオンライン診療 など


医療のICT化が求められる理由には、医療従事者の業務負担や医療資源の偏在などの課題が顕在化していることが挙げられます。

院内または関連職種との情報共有を電話・メール・書面の郵送などで行っている場合には、連絡や事務業務に負担がかかります。

また、医師の地域的・診療科間の偏在が見られており、僻地・離島などでは医療機関へのアクセスが制限される地域も存在します。医療資源が少ない地域では、「医師による訪問診療や往診に負担がかかる」「専門医による受診のために遠方まで足を運ぶ必要がある」といった課題があります。

医療従事者の業務負担を軽減して労働環境の改善を図るとともに、医療資源を有効活用して地域差の解消と医療サービスの充実につなげるために、ICTが役立つと考えられます。



医療現場におけるICT化の現状

厚生労働省の『第1回標準型電子カルテ検討ワーキンググループ資料』によると、医療機関における電子カルテシステムの普及率は2020年の時点で一般病院が57.2%、一般診療所で49.9%となっています。


▼電子カルテシステムの普及状況

電子カルテシステムの普及状況

画像引用元:厚生労働省『第1回標準型電子カルテ検討ワーキンググループ資料


病床規模別で見ると400床以上の施設では91.2%と導入率が高くなりますが、200床未満では48.8%にとどまっており、十分に普及していないことが分かります。

また、「電話や電話通信機器を用いた診療を実施できる」と登録した医療機関数は、2022年6月末時点で1万8,100施設となり、全医療機関数の11万3,088施設に対して少なくなっています。


▼電話や電話通信機器を用いた診療を実施できるとして登録した医療機関数

電話や電話通信機器を用いた診療を実施できるとして登録した医療機関数

画像引用元:厚生労働省『令和4年4月~6月の電話診療・オンライン診療の実績の検証の結果


経年で見ると電話診療やオンライン診療を実施している医療機関は増加傾向にあるものの、医療機関全体の16%と少数にとどまっている状況です。

このような状況を踏まえて政府では、医療機関でのICT活用を推進するために、電子カルテ情報の標準化や医療情報プラットフォームの創設、診療報酬改定などが行われています。

出典:厚生労働省『第1回標準型電子カルテ検討ワーキンググループ資料』『令和4年4月~6月の電話診療・オンライン診療の実績の検証の結果』『医療DXについて



医療現場にICTを取り入れるメリット

ICTを活用すると、医療情報に関するデータの共有や遠隔医療を行えるようになり、効率的な医療体制の整備につながります。


▼メリット

  • 医療従事者の業務負担を軽減できる
  • 医療機関と在宅医療との円滑な連携が可能になる
  • 医療資源を有効活用できる など


院内の関連部門において医療・介護・健康データを共有できるようになると、医療従事者間の連絡や事務業務に関する負担を軽減することが可能です。

訪問看護師や介護福祉士などの多様な職種と連携してチームによる医療体制を構築すれば、在宅医療・訪問看護を必要とする患者へのきめ細かなケアの実現につながります。

また、遠隔地にいながら専門医や主治医によるオンライン診療を受けられるようにすると、僻地・離島などの医療資源が少ない地域でも医療サービスの充実化を図ることができます。医師が訪問看護や往診を行う負担を軽減できるほか、外来による患者の負担も抑えられます。



医療現場にICTを取り入れるデメリット

医療現場にICTを取り入れる際には、以下のデメリットもあります。


▼デメリット

  • システムやIT関連機器の導入にコストがかかる
  • オンライン診療では得られる情報が限定される など


医療情報に関するデータの利活用や遠隔医療を実現するには、システムとIT関連機器を導入する必要があり、コストがかかります。ICT活用によって期待できる効果を踏まえて予算を策定するとともに、国・自治体が運用する補助金を活用することもポイントです。

また、オンライン診療ではビデオ通話を介して患者とのやり取りを行うことから、対面診療と比べて得られる患者の身体情報が限定されやすくなります。診療に必要な情報を十分に確認できない場合には、対面診療への切り替えが求められます。



医療現場のICT活用事例

ここからは、医療現場でICTを活用して在宅医療や救急対応を行った事例を紹介します。


腹膜透析患者の早期異常発見につなげた事例

病院と訪問看護ステーションで情報共有を行えるアプリケーションを導入して、腹膜透析患者の異常を早期発見した事例です。

チャット機能を利用して、訪問看護師が受診勧奨を行った対応を主治医へ報告したことで、異常の発見から検査、入院までを速やかに行えました。


▼実際のチャット

実際のチャット


このように、病院の医師・看護師と訪問看護師が、患者への対応内容をリアルタイムで確認できる体制を整備したことで、在宅医療の質向上につながりました。

また、電話で関係者間の連絡を取り合っていたときと比べて、業務負担の軽減にも貢献しているとのことです。

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救急対応において専門医による相談体制を構築した事例

遠隔集中医療システムを導入して、専門医による遠隔での相談を行える体制を構築した厚生労働省による紹介事例です。

救急搬送に対応する病院では、集中治療の専門医がいないため、医師が専門外となる重症患者の対応を行っていました。また、看護師は深夜に医師への報告をすべきかの判断を相談できず、精神的な不安にもつながっていました。


▼遠隔集中医療システムで実現したこと

  • 集中治療を専門とする医師・看護師に連絡して、ビデオ通話形式で遠隔による助言を受けられる体制を構築した
  • 24時間365日の相談対応によって、深夜に常勤医師への電話連絡を行う回数を削減した


医師・看護師が判断に迷った際に集中治療の専門医から助言を得られることで、精神的な負担と常勤医師の深夜対応による業務負担の軽減につながりました。専門医の助言を得て集中治療の経験を積めるため、知識の蓄積、人材育成にも役立っているとのことです。

出典:厚生労働省 いきいき働く医療機関サポートWeb いきさぽ『令和2年度 医師等医療従事者の勤務環境改善の推進にかかるICT機器等の有効活用に関する調査・研究



まとめ

この記事では、医療現場のICT活用について以下の内容を解説しました。


  • 医療のICT化に関する概要と現状
  • 医療現場にICTを取り入れるメリット・デメリット
  • 医療現場のICT活用事例


医療現場にICTを導入することで、医療情報に関するデータの共有・利活用や遠隔医療の提供が可能になり、効率的な医療体制を整備できます。

また、多様な職種と円滑に連携できる体制を整えると、病院への外来が困難な患者や在宅医療を受ける患者に対して、きめ細かな医療サービスを提供することが可能です。

病院と訪問看護ステーションとの円滑な連携を実現するには、チャット機能やビデオ通話機能が備わったアプリケーションの活用が有効です。

『kaleido TOUCH(カレイドタッチ)』は、医療連携を効率化するアプリケーションです。病院と訪問看護ステーションの間で即時的な情報共有ができることで、治療方針の検討やケアプランの策定に役立てられます。

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