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認定看護師®による同行訪問の診療報酬はどのように算定される? 算定要件と注意点

病院・訪問看護ステーションでは、特定の専門分野における知識・技術を習得した看護師が、ほかの訪問看護ステーションや医療機関の看護師と連携して、同行訪問を行うことがあります。

認定看護師®をはじめとする専門研修を受けた看護師が同行訪問を行った場合には、診療報酬の『訪問看護基本療養費』に算定することが可能です。

病院・訪問看護ステーションでは、患者のニーズに合わせて質の高い訪問看護を提供するために、同行訪問の仕組みや訪問看護基本療養費の算定要件について理解しておくことが重要です。

この記事では、認定看護師®による同行訪問の概要や診療報酬の内容、算定する際の注意点について解説します。

※認定看護師®・Certified Nurse®は日本看護協会の登録商標です。

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出典:厚生労働省『在宅(その3)


目次[非表示]

  1. 1.認定看護師®による同行訪問とは
  2. 2.認定看護師®による同行訪問の診療報酬
    1. 2.1.訪問看護基本療養費(Ⅰ)ハの算定要件
    2. 2.2.訪問看護基本療養費(Ⅰ)ハに該当する専門研修を受けた看護師
  3. 3.同行訪問の診療報酬を算定する際の注意点
  4. 4.まとめ


認定看護師®による同行訪問とは

認定看護師®による同行訪問とは、特定の看護分野について専門的な研修を受けた看護師が、ほかの訪問看護ステーションや医療機関の看護師と同行して訪問看護を行うことです。

在宅療養患者への訪問看護を実施するにあたり、専門的な看護分野でのケアが必要になる場合には、担当の訪問看護師だけでは対応が困難なケースがあります。特定の看護分野について研修を受けた専門性の高い看護師が連携して同行訪問することにより、水準の高いケアを継続して実施できるようになります。

同行訪問は、在宅療養患者の主治医による指示と患者・家族の要望を踏まえたうえで、担当の訪問看護師からほかの病院・訪問看護ステーションへ依頼する流れとなります。

なお、認定看護師®は、公益社団法人 日本看護協会が運営する資格認定です。日本看護協会が指定する600時間以上の認定看護師®教育を修めたうえで、認定看護師®認定審査に合格することで資格を取得できます。

出典:厚生労働省『在宅(その3)



認定看護師®による同行訪問の診療報酬

保険医療機関が算定できる診療報酬では、認定看護師®による同行訪問を評価する『訪問看護基本療養費(Ⅰ)ハ』が設けられています。

『訪問看護基本療養費(Ⅰ)ハ』は、特定の看護分野に関する専門研修を受けた看護師が、ほかの訪問看護ステーションまたは医療機関の看護師(准看護師)とともに指定訪問看護を提供した場合に算定できる医療費です。

患者の主治医が作成・交付した訪問看護指示書・訪問看護計画書に基づいて、利用者一人に対して月1回を限度に算定できます。


▼訪問看護基本療養費(Ⅰ)ハの診療報酬

算定回数
診療報酬の評価点数
月1回まで
1,285点


出典:厚生労働省『訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法


訪問看護基本療養費(Ⅰ)ハの算定要件

『訪問看護基本療養費(Ⅰ)ハ』は、専門研修を受けた看護師が所属する訪問看護ステーションまたは医療期間において算定することが可能です。診療報酬を算定するには、以下のすべての要件を満たす必要があります。


▼訪問看護基本療養費(Ⅰ)ハの算定要件

  1. 利用者が以下a~dのいずれかに該当している
  2. 悪性腫瘍の鎮痛療法もしくは化学療法を行っている利用者
  3. 真皮を越える褥瘡の状態にある利用者
  4. 人工肛門もしくは人工膀胱周囲の皮膚にびらんなどの皮膚障がいが継続または反復して生じている状態にある利用者
  5. 人工肛門もしくは人工膀胱のそのほかの合併症を有する利用者
  6. 以下a~cのいずれかに関する専門研修を受けた看護師が、利用者の在宅医療を担うほかの訪問看護ステーションまたは医療機関の看護師(准看護師)が共同して訪問看護を実施する
  7. 緩和ケア
  8. 褥瘡ケア
  9. 人工肛門ケアおよび人工膀胱ケア
  10. 厚生労働大臣が定める基準に適合しているとして地方厚生(支)局長に届出を行っている


2020年度の診療報酬改定では、算定要件となる利用者の対象として、人工肛門・人工膀胱の皮膚障がいを伴わない合併症が追加されています。

出典:厚生労働省『在宅(その3)』/厚生労働省 近畿厚生局『訪問看護療養費の取扱いの理解のために


訪問看護基本療養費(Ⅰ)ハに該当する専門研修を受けた看護師

『訪問看護基本療養費(Ⅰ)ハ』の要件に定められている専門研修を受けた看護師とは、各看護分野に関する以下の研修を受けた人を指します。


▼緩和ケアの専門研修

国又は医療関係団体等が主催する研修であること。(600 時間以上の研修期間で、修了証が交付されるもの)

緩和ケアのための専門的な知識・技術を有する看護師の養成を目的とした研修であること。

講義及び演習により、次の内容を含むものであること。

(イ) ホスピスケア・疼痛緩和ケア総論及び制度等の概要

(ロ) 悪性腫瘍又は後天性免疫不全症候群のプロセスとその治療

(ハ) 悪性腫瘍又は後天性免疫不全症候群患者の心理過程

(ニ) 緩和ケアのためのアセスメント並びに症状緩和のための支援方法

(ホ) セルフケアへの支援及び家族支援の方法

(ヘ) ホスピス及び疼痛緩和のための組織的取組とチームアプローチ

(ト) ホスピスケア・緩和ケアにおけるリーダーシップとストレスマネジメント

(チ) コンサルテーション方法

(リ) ケアの質を保つためのデータ収集・分析等について

(ヌ) 実習により、事例に基づくアセスメントとホスピスケア・緩和ケアの実践

引用元:厚生労働省 近畿厚生局『訪問看護ステーションの基準に係る届出に関する手続きの取扱いについて


▼褥瘡ケアの専門研修

国又は医療関係団体等が主催する研修であって、必要な褥瘡等の創傷ケア知識・技術が習得できる600時間以上の研修期間で、修了証が交付されるもの又は保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)第37条の2第2項第5号に規定する指定研修機関において行われる褥瘡等の創傷ケアに係る研修

講義及び演習等により、褥瘡予防管理のためのリスクアセスメント並びにケアに関する知識・技術の習得、コンサルテーション方法、質保証の方法等を具体例に基づいて実施する研修

引用元:厚生労働省 近畿厚生局『訪問看護ステーションの基準に係る届出に関する手続きの取扱いについて


▼人工肛門ケアおよび人工膀胱ケアの専門研修

国又は医療関係団体等が主催する研修であって、必要な人工肛門及び人工膀胱のケアに関する知識・技術が習得できる600時間以上の研修期間で、修了証が交付されるもの

講義及び演習等により、人工肛門及び人工膀胱管理のための皮膚障害に関するアセスメント並びにケアに関する知識・技術の習得、コンサルテーション方法、質保証の方法等を具体例に基づいて実施する研修

引用元:厚生労働省 近畿厚生局『訪問看護ステーションの基準に係る届出に関する手続きの取扱いについて


なお、認定資格を取得できる看護分野には、緩和ケアや皮膚・排泄ケアなどの同行訪問に関連する内容が含まれています。

出典:厚生労働省 近畿厚生局『訪問看護ステーションの基準に係る届出に関する手続きの取扱いについて



同行訪問の診療報酬を算定する際の注意点

認定看護師®をはじめとする専門研修を受けた看護師が同行訪問を実施する際には、診療報酬の算定方法に注意が必要です。


▼注意点

  • 同一日に『訪問看護管理療養費』を算定できない
  • 単独で訪問看護を実施した場合には『専門管理加算』の対象となる


『訪問看護管理療養費』とは、指定訪問看護ステーションで安全な訪問看護の提供体制が整備されており、主治医への訪問看護計画書・訪問看護報告書の提出を含む計画的な管理を継続的に行っている場合に算定できる医療費です。『訪問看護基本療養費(Ⅰ)ハ』を算定する日には、『訪問看護管理療養費』を算定できないため、注意が必要です。

また、『専門管理加算』は2022年度の診療報酬改定で新設された制度です。専門研修を受けた看護師または特定行為研修を修了した看護師が、単独で指定訪問看護を実施する場合には、1月に1回を限度に『専門管理加算』を算定できます。診療報酬の評価点数は250点となります。

※厚生労働大臣が指定する指定研修機関において、協力施設と連携して講義・演習・実習を行う研修のこと


出典:厚生労働省 近畿厚生局『訪問看護療養費の取扱いの理解のために』/厚生労働省『令和4年度診療報酬改定の概要



まとめ

この記事では、認定看護師®による同行訪問の診療報酬について、以下の内容を解説しました。


  • 認定看護師®による同行訪問の概要
  • 認定看護師®による同行訪問の診療報酬
  • 同行訪問の診療報酬を算定する際の注意点


認定看護師®をはじめとする専門研修を受けた看護師が、在宅療養を行う患者への同行訪問を実施する際には、1日1回を限度に診療報酬を算定できます。

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