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腹膜透析における訪問看護の回数制限とは

医療保険と介護保険では、疾病または負傷によって在宅で継続した療養を受ける必要がある人に対して、医師が必要と認めた場合に給付による訪問看護の提供が行われます。

訪問看護は、病院・診療所や訪問看護ステーションによってサービスが提供されますが、利用者の状態に応じて実施回数の上限が定められています。また、腹膜透析患者への訪問看護については医療保険と介護保険で扱いが異なります。

この記事では、医療保険と介護保険による訪問看護の回数制限と腹膜患者への訪問看護に関する注意点について解説します。


出典:厚生労働省『訪問看護』『令和6年度診療報酬改定の概要


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目次[非表示]

  1. 1.訪問看護の対象者と回数制限
    1. 1.1.➀特別訪問看護指示書の交付を受けた人
    2. 1.2.②65歳以上で要介護認定を受けていない人
    3. 1.3.③65歳以上で要介護認定を受けている人
  2. 2.腹膜透析患者への訪問看護に関する注意点
  3. 3.まとめ


訪問看護の対象者と回数制限

訪問看護を実施できる回数は、医療保険と介護保険で扱いが異なります。利用者の年齢や身体の状態によってどちらか一方の保険制度が適用される仕組みとなっています。 


▼訪問看護の原則的な提供回数


医療保険
介護保険
訪問回数
原則週3日以内
無制限
(限度基準額内で提供できる回数)


医療保険の給付対象となる訪問看護では、原則として週3日以内の回数制限が設けられています。医師が在宅での療養について診療の補助が必要と判断した場合に、“訪問看護療養費”の給付を受けられます。

ただし、腹膜透析患者の場合は、厚生労働大臣が定める別表第8の2項に掲げる“在宅自己腹膜灌流指導管理”に該当するため、回数の制限なく訪問看護を実施することが可能です。


▼特掲診療料 別表第8

1. 在宅麻薬等注射指導管理、在宅腫瘍化学療法注射指導管理又は在宅強心剤持続投与指導管理若しくは在宅気管切開患者指導管理を受けている状態にある者又は気管カニューレ若しくは留置カテーテルを使用している状態にある者

2. 以下のいずれかを受けている状態にある者
  a. 在宅自己腹膜灌流指導管理
  b. 在宅血液透析指導管理
  c. 在宅酸素療法指導管理
  d. 在宅中心静脈栄養法指導管理
  e. 在宅成分栄養経管栄養法指導管理
  f. 在宅自己導尿指導管理
  g. 在宅人工呼吸指導管理
  h. 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理
  i. 在宅自己疼痛管理指導管理
  j. 在宅肺高血圧症患者指導管

3. 人工肛門又は人工膀胱を設置している状態にある者

4. 真皮を超える褥瘡の状態にある者

5. 在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している者

厚生労働省『令和6年度診療報酬改定の概要』を基に作成


介護保険においては、訪問看護の提供回数に上限は定められておらず、給付の限度基準額に収まる範囲でケアプランに設定します。

ここからは、医療保険と介護保険のどちらが適用されるかについて対象者別に解説します。


➀特別訪問看護指示書の交付を受けた人

医師から特定訪問看護師指示書の交付を受けた人は、医療保険が適用されます。

特定訪問看護師指示書とは、患者の主治医が診療に基づいて一時的に週4日以上の訪問看護が必要と判断した場合に、訪問看護ステーションに対して交付する指示書のことです。


出典:厚生労働省『令和6年度診療報酬改定の概要』『訪問看護のしくみ


②65歳以上で要介護認定を受けていない人

65歳以上で要介護認定を受けていない人は、医療保険が適用されます。

腹膜透析患者は厚生労働大臣が定める別表第8に該当するため、週4日以上で制限なく訪問看護を実施することが可能です。


出典:厚生労働省『令和6年度診療報酬改定の概要』『訪問看護のしくみ


③65歳以上で要介護認定を受けている人

65歳以上で要介護認定を受けている人は、基本的に介護保険が適用されます。

ただし、厚生労働省が別表第7(特掲診療料)に定める人に該当する場合には、医療保険が適用されます。


▼特掲診療料 別表第7

末期の悪性腫瘍
多発性硬化症
重症筋無力症
スモン
筋萎縮性側索硬化症
脊髄小脳変性症
ハンチントン病
進行性筋ジストロフィー症
パーキンソン病関連疾患
多系統萎縮症
プリオン病
亜急性硬化性全脳炎
ライソゾーム病
副腎白質ジストロフィー
脊髄性筋萎縮症
球脊髄性筋萎縮症
慢性炎症性脱髄性多発神経炎
後天性免疫不全症候群
頸髄損傷
人工呼吸器を使用している状態

※厚生労働省『令和6年度診療報酬改定の概要』を基に作成


腹膜透析患者においては上記に該当しないため、要介護認定を受けている場合には介護保険を利用することになります。


出典:厚生労働省『訪問看護』『令和6年度診療報酬改定の概要』『訪問看護のしくみ


▼腹膜透析患者に適用される医療保険や、自己負担額についてはこちらの記事で解説しています。

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腹膜透析患者への訪問看護に関する注意点

病院・診療所と訪問看護ステーションが腹膜透析患者への訪問看護を行う際には、加算の算定について注意が必要です。

医療保険における訪問看護の報酬は、訪問する回数によって評価が異なります。

在宅で療養する患者への訪問看護については、“在宅患者訪問看護・指導料”の加算を取得できます。加えて腹膜透析患者は特別管理加算の対象者となるため、“難病等複数回訪問看護”として所定点数に加算することが可能です。


▼在宅患者訪問看護・指導料

訪問看護の実施者
訪問回数
点数
保健師、助産師または看護師
週3日以内
580点
週4日以上
680点
准看護師
週3日以内
530点
週4日以上
630点


▼難病等複数回訪問看護

訪問回数
対象
1日に算定する利用者の人数
1日に2回の場合
同一建物内1人
4,500円
同一建物内2人
4,500円
同一建物内3人以上
4,000円
1日に3回の場合
同一建物内1人
8,000円
同一建物内2人
8,000円
同一建物内3人以上
7,200円


なお、2024年度の診療報酬改定が行われましたが、難病等複数回訪問看護の算定内容についての変更はありませんでした。

※一定の専門研修を受けた看護師を除く

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出典:厚生労働省『別表第一 医科診療報酬点数表』『訪問看護のしくみ』『訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部を改正する件



まとめ

この記事では、訪問看護の回数について以下の内容を解説しました。


  • 医療保険と介護保険による訪問看護の回数制限
  • 腹膜透析患者への訪問看護に関する注意点


医療保険の給付による訪問看護は原則として週3日以内と定められていますが、腹膜透析患者については制限なく実施することが可能です。特別訪問看護指示書の交付を受けている人や、65歳以上で要介護認定を受けていない人は、医療保険が適用されます。

また、医療保険を利用した訪問看護では、訪問回数によって算定できる点数が異なるため、事前に確認しておくことが重要です。

なお、腹膜透析患者への訪問看護を行う際には、病院・診療所と訪問看護ステーションの間で連携をとる必要があります。患者の状態を踏まえて、医師による訪問看護の回数や指示書の交付などを行えるように、処置の内容と状況についてきめ細かな情報共有を行うことが重要です。

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